懲戒制度上の自治
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/13 05:55 UTC 版)
国際連合は1990年、国連憲章と世界人権宣言に基づき、『弁護士の役割に関する基本原則』(Basic Principles on the Role of Lawyers)を採択し、弁護士についての懲戒手続においては、対象弁護士に公平な聴聞の機会が保障されなければならないこと(第26項)や、法専門家による懲戒委員会や立法機関の中の独立した機関あるいは裁判所により取り行われ、かつ独立した司法審査を受けられるべきであること(第28項)などを定めた。 ドイツやフランスでは、裁判所が弁護士の懲戒権を有しているが、その構成員は弁護士が中心となっている。また、一般人からの懲戒請求は認められていない。 アメリカ合衆国では、それぞれの法曹団体が弁護士の非行行為の審査をする建前をとり弁護士自治が認められている(ただし、弁護士会が任意加入の州も多くある)が、審査の結果懲戒の必要を認めたときは州最高裁判所へ懲戒の勧告を行う制度をとっている。アメリカ法曹協会は、懲戒制度に対する公衆の不満の多くが、むしろ苦情処理の在り方や懲戒事由とならない「軽微な非違行為」の棄却に起因するものであることを見出し、各州の法曹団体に懲戒制度の改革を勧告している。 イギリスでは、かつては法廷弁護士の私的な団体である法曹院が法廷弁護士について懲戒権を有し、裁判所や行政の司法審査に服しないとされていたが、弁護士に対する苦情の処理に関する要望が非常に高まったこと、また贈収賄法の制定が予定されていたこともあり、2010年には弁護士に対する苦情・報告を専門に受け付ける独立の公的なオンブズマン制度が設置された。事務弁護士については、もとから法サービス理事会が懲戒権を有していた。
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