慢性甲状腺炎とその他の自己免疫疾患の合併
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:43 UTC 版)
「慢性甲状腺炎」の記事における「慢性甲状腺炎とその他の自己免疫疾患の合併」の解説
甲状腺自己抗体は多くの自己免疫性疾患の患者で陽性となるとされており、橋本病の合併が疑われる。自己免疫性疾患の中では関節リウマチ、SLEなどにおける合併がよく知られているが、線維筋痛症との合併率は40%と圧倒的に多く、甲状腺自己抗体陽性例と陰性例では臨床像では差が認められないものの、重症度が陽性例の方が強い傾向が示唆されている。他にも脳症、脊髄症、末梢神経障害、うつ病、躁うつ病、認知症に対しても関連が指摘されている。 悪性貧血 悪性貧血症例における慢性甲状腺炎の併発率は高く、抗TPO抗体陽性が50%、抗TG抗体が14%程度に認められる。12%の症例に顕性の甲状腺機能低下症、15%に潜在性の甲状腺機能低下症がみられるという報告もある。 アジソン病 アジソン病症例ではバセドウ病が10%、慢性甲状腺炎が10%合併している。 抗核抗体 抗核抗体は健常人でも10 - 20%ほど陽性でありリウマチ・膠原病が疑われる症例での測定が進められる。臨床検査ではヒト由来の培養細胞を用いて希釈血清を用いて核の染色型を顕微鏡によって判定している。慢性甲状腺炎では20 - 30%で抗核抗体が陽性となる。抗平滑筋抗体、抗ssDNA抗体、抗カルジオリピン抗体の陽性率も高いが疾患特異的な自己抗体は陰性であることがほとんどである。 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデスはHLA-DR3を疾患感受性遺伝子として発症し、自己免疫性甲状腺炎の併発が多いことで知られている。甲状腺自己抗体は健常対照者の陽性率は30%以下であるのに対してSLE症例では半数が陽性であり顕性の甲状腺機能低下症が6%、機能亢進症が2%で認められる。 関節リウマチ シェーグレン症候群 シェーグレン症候群の約7%で橋本病が認められ、約3%でバセドウ病が認められている。逆に橋本病の16%にシェーグレン症候群が認められている。 重症筋無力症 重症筋無力症はHLR-DR3やB8が疾患感受性遺伝子であり、甲状腺疾患、特にバセドウ病の併発がよく知られている。 1型糖尿病 1型糖尿病症例の6 - 40%で甲状腺自己抗体が陽性になるとされている。
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