性的暴行と家庭内暴力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 05:56 UTC 版)
「カーセラル・フェミニズム」の記事における「性的暴行と家庭内暴力」の解説
カーセラル・フェミニズムが人種的なマイノリティに影響を与えた事件として、1989年のセントラル・パーク・ジョガー事件(英語版)がある。この事件では、5人の黒人とラテン系アメリカ人の若者が、セントラル・パークでジョギングをしていた女性に対する残虐なレイプの容疑者として逮捕、起訴された。当時10代だった5人の男性はそれぞれ6年から13年の懲役刑を受けた。しかし、DNAの証拠と鑑識技術の進歩により、別の真犯人が浮上し、5人の冤罪が証明された。この事件では、人種的なマイノリティの容疑者がメディアや法廷、警察などに差別的な扱いを受けることが問題視された。 アメリカ自由人権協会によれば、アメリカ合衆国の刑務所に収監された女性の約8割が身体的暴力を受けており、6割は過去に性的暴行を受けたことがあった。また、男性を殺した罪で収監されている女性の9割はその男性に暴行を受けた過去があった。また、女性パートナーを殺害した男性が受ける平均的な懲役刑は2年から6年なのに対し、男性パートナーを殺害した女性の懲役刑は15年ほどだと指摘された。刑事罰に問われている女性の多くは、暴力にさらされていた過去を持ち、その暴力がきっかけに罪を犯した人も多い。カーセラル・フェミニズムに反対するフェミニスト達は、取り締まりや刑務所が社会で抑圧されている立場の人たち(社会的マイノリティ)にとって不利に働いていると指摘する。そのようなアボリショニスト・フェミニズム(英語: abolitionist feminism)の立場をとる人たちは、様々な暴力的な構造にさらされている人たちが収監されることに反対し、暴力の連鎖を断ち切ることで問題の解決を目指している。
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