御歌所の職務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/01 01:05 UTC 版)
1927年(昭和2年)2月、元寄人の井上通泰が明治天皇御集編纂について講演し、その冒頭で御歌所の職務について次のように語った。 御歌所の職掌は技術・典礼・事務の3方面に分かれる。 今(1927年)の長の職務は以前と違っているが、明治期の高坂正風所長は同時に技師長であり御製御歌を拝見していた。 寄人は歌の技師である。その職務は主として歌御会始の御用である。人数は6~7人である。本来は非常勤であるが、主事や録事を兼ねる者はその資格で常勤する。これを内部で常勤寄人と名づけていた。常勤寄人は突然に歌道の御用があるとき便宜上それを勤めるので自然と寄人の中核になり、省内・局内の事情に最も通じていた。寄人は勅任または奏任である。勅任寄人は3人いたこともあるし1人もいなかったこともある。勅任寄人は普段は出勤しない。(井上は寄人を勅任または奏任というが実際には勅任待遇または奏任待遇である)。 参候は奏任であり、歌御会始の儀式に交替で奉仕する。参候には華族のほか、少数の宮内官兼務者と、大抵2人ぐらい歌人出身の録事兼務者が混じっている。(井上は参候を奏任というが実際には奏任待遇である)。 主事は奏任の書記官であり、寄人が兼務することがあり、他局の人が兼務することがある。 録事は他省でいう属官であるが、その職務が歌に関するものなので歌人から採用してこれに充てる。その身分は属官に過ぎないが、立派に独立できる歌人であり、また顕官名士の師となることもあるので、名誉ある地位である。録事は十数年勤めて参候を兼ね、後には寄人に進む。かつては録事のまま寄人を兼ねることがあった。
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