役割と職務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 13:45 UTC 版)
「法務長官 (イギリス)」の記事における「役割と職務」の解説
法務長官は、法務長官府を率いる閣外大臣である。法務長官は閣内大臣であってはならないという決まりは、法律ではなく政治的慣習(英語版)であり、現に、1915年のバーケンヘッド卿(英語版)から1928年のダグラス・ホッグ(英語版)まで、法務長官が短期間閣内にいたこともある。法務長官が閣議に出席することを禁じているものはなく、折に触れて、法務長官は閣議に出席し、政府に対し、行為の最適な方向性に関して法的助言を行っている。特に、EU離脱交渉の間を通じて、ジェフリー・コックスは複数回閣議に出席して助言を行った。もっとも、法務長官と、法的助言を与えた先の政治的な決定との間に明確な線引きをするため、法務長官は閣議から除外することが望ましいと考えられている。法務長官は、政府の大臣として、議会に対して直接答弁を行うことができる。 法務長官は、国王とその政府の主たる法的助言者でもあり、会議における口頭のものと書面によるものとを問わず、政府の行為への法的な対抗に関して政府に助言を与えることにつき、一次的な役割を有している。政府全体だけでなく、政府の各部門にも助言を与える。現在では訴訟は主たる役割ではなくなったが、今でも、法務長官は、少数の特に重要な事件においては法務長官が国王や政府を代理し、また、大半の政府の法的事件を扱う法律家 (Treasury Counsel) を選任する。慣習により、国際司法裁判所においては、全ての事件で法務長官が政府を代理する。法務長官は、検察庁(英語版)の監督と、その長である検事総長 (Director of Public Prosecutions) の任命を行う。訴追に関する判断は、例外的な事件(法令により、または国家安全保障に関連する場合に、法務長官の同意が必要とされる事件)を除き、検察庁が行う。法務長官の同意があった事件の例として、1924年の初の労働党政権の崩壊につながったキャンベル事件(英語版)がある。 法務長官は、政府法務局(英語版)および重大不正捜査局の監督も行う。また、法務長官は、「不当に軽い」判決や法律上の論点を控訴院に上訴したり、刑事訴追を中止するための「告訴取下げ(ラテン語: nolle prosequi)」の令状を発給したり、他の訴追機関(環境・食糧・農村地域省等)を監督したり、公務の結果として法的手段をとられた大臣個人への助言を行ったりする権限も有する。法務長官は、嫌がらせ訴訟を制限するための裁判所への申請を行う責任を有し、また、民間公益団体の利害を代表するために訴訟に介入することもできる。法務長官は、公的にはイングランドおよびウェールズの法曹界の指導者でもある。もっとも、これは単なる慣例であり、それに伴う権利義務はない。
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