形成エネルギー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/28 09:36 UTC 版)
「ミセル化の熱力学(英語版)」も参照 ミセルは、界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度(CMC)を超え、さらに、系の温度が臨界ミセル温度(クラフト温度)よりも高い場合にのみ形成される。ミセルの形成は、熱力学を用いて理解することができ、ミセルはエントロピーとエンタルピーとのバランスによって自発的(英語版)に形成される。水中において、界面活性剤分子の集合は、系のエンタルピーとエントロピーの両面で不利であるという事実にもかかわらず、疎水性効果がミセル形成の駆動力となる。界面活性剤の濃度が非常に低い場合、溶液中にはモノマーのみが存在する。界面活性剤の濃度が増すと、分子の疎水性尾部がクラスター化することによる不利なエントロピーの寄与が、界面活性剤尾部の周囲りの溶媒和殻が解放されることによるエントロピー増加を打ち負かすポイントに到達する。この時点で、一部の界面活性剤の脂質尾部は水から分離されなければならない。そのため、これらはミセルを形成し始めることになる。大まかに言えば、CMCを超えた場合、界面活性剤分子の集合によるエントロピーの損失は、界面活性剤モノマーの溶媒和殻に「閉じ込められた」水分子を解放することによるエントロピーの増加よりも少なくなる。また、界面活性剤の帯電部位の間で起こる静電相互作用のような、エンタルピー的な検討も重要である。
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