強勢のない母音体系の減衰および地方変異
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 04:01 UTC 版)
「東ロンバルド語」の記事における「強勢のない母音体系の減衰および地方変異」の解説
母音のコントラストの一部は、強勢のない音節内だと消されてしまう。例えば、ブレシア都市内の変種において、[ɔ] と [o] はもはや違いがない。そのため、単語robà (盗む)は [roˈba] と[rɔˈba]の両方で発音できて、違いが話者にほとんど気付かれない。加えて、さらなる変異[ruˈba] もまた可能で、この場合は違いが話者に気付かれるが、地方変異だと見なされて明瞭度の損失は起こらない。[e] と [ɛ] の音も強勢なしの音節ではもはや違いがなく、そのため単語vedèl (子牛)は[veˈdɛl] または[vɛˈdɛl]で発音可能である。しかしながら、母音の調和(後述)による影響を受けた時、 強勢なしの[e]/[ɛ], [o]/[ɔ], [ø] の音はそれぞれ[i], [u], [y]になる。 結論として、強勢のない音節では[o]/[ɔ]/[(u)], [ø]/[(y)], [a], [e]/[ɛ], [i] と事実上5つのコントラストがある母音だけだと言える(ただし、[i] は[e]/[ɛ] から完全に分離されてはいない)。いくつか例を挙げる。 molà (行こう) [moˈla] mölà (すり潰す) [møˈla] malàt (病気) [maˈlat] pelàt (はげた) [peˈlat] Milà (ミラン) [miˈla] とはいえ、東ロンバルド語の他の変種では状況が異なることがあり、地域によって強勢のない母音体系の規則は異なる。例えば、ブレシア県の、フランチャコルタ(英語版)では、[o] と[ø] の音がアクセント直前の位置で[u] と [y]に規則的に置き換えられる。 molàの代わりとしてmulà Roàtの代わりとしてRuàt (ロヴァート) Öspedalètの代わりとしてÜspedalèt (オスピタレット) 強勢なしの状態ではこれらの音は違いがないため、これらの地方変異が相互の明瞭度を損うことはない。
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