年限延長問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 00:00 UTC 版)
日本は義務教育制度がほぼ完成している国家であるが、学齢超過の義務教育未修了者は170万人いるといわれる。こういった人は、主に第二次世界大戦直後の混乱により、学齢期に就学できなかった人である。これらの人の行ける小中学校としては、夜間中学校や中学校通信教育が整備されているが、学校数が少ないこともあって非常に門戸が狭く、あまり効果を上げていない。また、小学校や、朝昼に授業を行う一般の中学校には入学を拒否される場合がほとんどである。 日本の義務教育期間はあくまで年齢主義であり、学齢を過ぎたらもはや義務教育の対象とはされない。そうしたことも一因で、学齢超過者が小中学校に入学することが困難となっている。そのため、上記のような戦争による未就学者や、近年増加している不登校者が小中学校への入学を希望しても、一度学齢を超過すると入学できない場合が多いことが問題となっている。 義務教育の年限延長は、明治時代から強く主張されており、社会の環境が整うにつれ徐々に延長されてきた経緯がある。当初修業年限が4年間だった尋常小学校は、1907年(明治40年)には6年制となり、その後制度上は国民学校の8年制化によって義務教育年限は8年間となったが、第二次世界大戦の戦局の激化により実施はされず、戦後の学制改革によって義務教育は9年間となった。このように、当初は国家の経済力が弱かったこともあり、義務教育年限は短かったが、経済力の強化と、国家総力戦のための軍部による国民練成の要求により、延長がなされた形である。 現代では、高校進学率が非常に高く、また、幼稚園・保育園入園率も高いため、義務教育年限を延長し、それらの教育機関を義務教育対象機関にすることを求める意見がある。自民党は義務教育年齢を下方延長して幼稚園などを義務教育対象に組み入れることを主張していたが、逆に上方延長により高校などを義務教育諸学校とする意見も出ている。
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