常働信管
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 19:02 UTC 版)
No.69手榴弾は常働信管(All-ways fuze)を使うよう開発されたイギリス初の兵器である。後にはガモン手榴弾、No.73手榴弾またNo.77手榴弾にも見られた。常働信管は衝撃発火専門の信管である。「Allways」の用語は、どのような方向で手榴弾が目標に命中しても起爆が保証されることからつけられている。 通常、衝撃で撃発する弾薬は、信管の作動に際して特別な方向、例えば信管の垂直軸方向から目標に命中する必要がある。対照的に、No.69手榴弾は底部や側面、上面などのどんな方向から目標に命中しても爆発可能である。 常働信管の構造は垂直方向に可動する撃針とその下部に置かれた雷管で作られ、これらの組み合わせは弱いスプリングで隔てられている。こうした機構の頂部に鋼製のボールベアリングが置かれ、撃針で円錐形状のハウジングに押し上げられている。どんな垂直方向の衝撃が加わっても撃針もしくは雷管が押されて移動し、撃針と接触して雷管が起爆する。全ての水平方向から加わる衝撃により、円錐形状のハウジングの傾斜面に沿ってボールベアリングが動き、垂直軸方向への移動に変換される。このボールベアリングの動きは撃針を押して撃発させる。 信管を作動させるには、使用者がまずプラスチック製のキャップをねじって除去し、細長い紙テープを露出させる。テープ終端には湾曲した鉛製のおもりがつけられている。手や発射器から手榴弾が放たれると、おもりのついたテープが風を捕らえて手榴弾の上部から速やかにほどかれていき、最終的にはゆるく差し込まれた安全ピンを信管から抜く。安全ピンを解除すると撃針と雷管が接触可能となる。手榴弾が固いものに衝突すると衝撃によって接触が生じる。 鋼製ボールベアリングが破片となり、爆発から離れた位置まで飛んでくるという点で、常働信管は少ないながら設計上の欠陥を持っていた。No.69手榴弾のような「攻撃型」の用途で用いられるとき、使用者は投擲の前に隠れるという動作を要求されておらず、使用者が高速で飛ぶボールベアリングで負傷する可能性があった。軍事関係の著作家イアン・V・ホッグによれば、この問題は手榴弾を実用する際の使用規制につながった。
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