差異性の持つ政治的側面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 18:02 UTC 版)
「タウヒード」の記事における「差異性の持つ政治的側面」の解説
イスラームの政治性を論じるにあたって基本的に重要なのは、ハリーファ(代理権)の概念である。ただ、西洋世界の王権神授説と厳格に峻別する必要がある。西洋世界の王権神授説が、国王が神の代理人として、政治に当たるという言説であるのに対して、イスラーム世界の代理権の概念は、タウヒードを出発点とするために、ある特定少数の人間に代理権が付与されているわけではないということである。 カリフという言葉は、預言者ムハンマド亡き後のウンマの指導者、最高権威者の称号であり、そのハリーファの原義は「代理人」で、西暦632年にムハンマドの死後のウンマの指導者としてアブー・バクルが選出され、「神の使徒の代理人」(ハリーファ・ラスール・アッラーフ)を称したことに始まることから明らかである通り、あくまでも、創造者であるアッラーがその主権の行使を人間に委託していることがこの語のはじまりである。 パキスタンのイスラーム活動家であるマウドゥーディーは著書“The Islamic Way of Life”において、「タウヒードの諸原理を認めた上で代理の義務を喜んで果たそうとする共同体全体に、カリフの権威が与えられるということである……こうした共同体社会は、カリフの権威全体に対して責任を負っている。共同体の一人一人が神聖なカリフの権威を持っている」と述べ、それゆえに、人間は、神の現世における代理人の地位を獲得し、被造物の中から必要なものを所有することが許され、同様に、政治の分野においても神の主権を行使することが許されたのである。
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