小笠原路線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 07:52 UTC 版)
空港を熱望する小笠原諸島では、東京都と国土交通省による調査が長年に渡って行われており、父島洲崎地区に新空港を設置する案、硫黄島を中継地として活用する案、水上機利用の3案が検討されたが、このうち硫黄島案と水上機案は困難な課題を短期的に解決できないとして洲崎地区案に絞られている。 当初1,200 mの滑走路長が検討されたが、これは切土が必要な上、湾内に滑走路が張り出す形となり、残土処理のほか、国立公園や世界遺産地域に該当するため環境大臣の認可も必要となる。環境省も生態系への影響などの懸念を発表しており、2017年の調査報告ではATR 42-600Sの就航を前提として滑走路長を1,000 mに短縮する案を採用している。また、2020年に発表された報告では、ATRの親会社であるレオナルド S.p.A傘下のアグスタウェストランドが開発中のティルトローター機・AW609も候補とされた。ただし、ATR 42-600SもAW609も航続距離が短く、復路運航のため小笠原側に航空機給油設備の設置が必須となるが、海の荒れる冬場は小笠原への安定した燃油輸送は難しく、また途中で引き返しが生じた場合、引き返す地点によっては燃料切れのおそれがある。本土 - 小笠原間の経路上に存在する八丈島空港は気流が小刻みに変化する離着陸の難しい空港であり、同空港に定期路線を持つANAも、専門の社内試験に合格した操縦士にしか運航を担当させていない。
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