対称群と交代群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 20:26 UTC 版)
全ての対称群と交代群は有理数係数多項式のガロア群として現れることがヒルベルトにより示された。 多項式 xn + ax + b の判別式は ( − 1 ) n ( n − 1 ) 2 ( n n b n − 1 + ( − 1 ) 1 − n ( n − 1 ) n − 1 a n ) {\displaystyle (-1)^{\frac {n(n-1)}{2}}\left(n^{n}b^{n-1}+(-1)^{1-n}(n-1)^{n-1}a^{n}\right)} である。 特殊な場合として、 f(x, s) = xn − sx − s. を考える。 多項式 f(x, s) の s を素数に置き換えたもの(f(x, s) の特殊化と呼ぶ)は、アイゼンシュタインの既約判定法により既約な多項式である。したがって f(x, s) は Q ( s ) {\displaystyle \mathbb {Q} (s)} 上既約である。さらに、f(x, s) は x n − x 2 − 1 2 − ( s − 1 2 ) ( x + 1 ) {\displaystyle x^{n}-{\tfrac {x}{2}}-{\tfrac {1}{2}}-\left(s-{\tfrac {1}{2}}\right)(x+1)} とも書け、f(x, 1/2) は 1 2 ( x − 1 ) ( 1 + 2 x + 2 x 2 + ⋯ + 2 x n − 1 ) {\displaystyle {\tfrac {1}{2}}(x-1)\left(1+2x+2x^{2}+\cdots +2x^{n-1}\right)} と分解できる。 上式の2番目の項は、その相反多項式にアイゼンシュタインの既約判定法を適用することにより、既約であることがわかる。以上から、群 Gal(f(x, s)/Q(s)) は2重可移的(英語版)であることがわかった。 次にこのガロア群が互換を含むことを見る。定数倍による変数変換 (1 − n)x = ny を使うと y n − { s ( 1 − n n ) n − 1 } y − { s ( 1 − n n ) n } {\displaystyle y^{n}-\left\{s\left({\frac {1-n}{n}}\right)^{n-1}\right\}y-\left\{s\left({\frac {1-n}{n}}\right)^{n}\right\}} となり、 t = s ( 1 − n ) n − 1 n n {\displaystyle t={\frac {s(1-n)^{n-1}}{n^{n}}}} と置き、 g(y, t) = yn − nty + (n − 1)t と定義すると、これは yn − y − (n − 1)(y − 1) + (t − 1)(−ny + n − 1) ともかける。 これから、多項式 g(y, 1) は 1 を重複度2の零点として持ち、残りの n − 2 個の零点は重複度が1であることが分かり、Gal(f(x, s)/Q(s)) が互換を含むことがわかる。互換を含む任意の有限な2重可移的置換群(英語版) は対称群そのものと一致する。 ヒルベルトの既約性定理(英語版) から、f(x, t) を特殊化するとその多項式の有理数体 Q {\displaystyle \mathbb {Q} } 上のガロア群が Sn となるものが無限に存在する。また、そのような有理数は Q {\displaystyle \mathbb {Q} } のなかで稠密である。 g(y, t) の判別式は ( − 1 ) n ( n − 1 ) 2 n n ( n − 1 ) n − 1 t n − 1 ( 1 − t ) {\displaystyle (-1)^{\frac {n(n-1)}{2}}n^{n}(n-1)^{n-1}t^{n-1}(1-t)} となる。 これは完全平方ではない。
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