密雲
密雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 18:56 UTC 版)
北京天文台の設立直後、沙河観測所での観測が始まり、台内に電波天文学グループが結成されると、複数のアンテナを並べた電波干渉計を備えた電波観測拠点の候補地選びが始まった。4年以上をかけて、北京市北部の密雲区にある密雲水庫(英語版)(ため池)北岸の不老屯(英語版)村南側の平地が選ばれた。標高は約155 m、周囲を山々に囲まれており、それが外部からの電波障害を防ぐ天然の防壁の役割を果たしている。 密雲観測所は1966年に着工し、1967年には電波干渉計の設置が完了した。これは、直径6 mのパラボラアンテナ16台を並べた電波干渉計で、周波数146 MHzのメートル波で太陽を観測した。その後、450 MHzの周波数で観測する複合型干渉計機構も開発された。 1980年には、それまで6 mだったパラボラアンテナの直径を9 mに拡大した。並行して、地球の自転を利用した開口合成電波望遠鏡の開発が計画され、最終的には9 mのパラボラアンテナ28台を東西方向に並べ、最大基線長は約1,164 m、周波数232 MHzのメートル波を用いた開口合成装置が、1983年に完成し、1985年から定常観測を行った。この密雲開口合成電波望遠鏡 (Miyun Synthesis Radio Telescope, MSRT) は特に、北天の電波源捜索の掃天観測で活躍し、1999年までの観測で優れた電波源カタログが作られ、超新星残骸や新しい電波源の観測をいくつも行った。1990年には、327 MHzの周波数を用いた開口合成装置も追加された。掃天観測の完了後は、惑星間空間シンチレーション(英語版)の観測にも挑んでいる。 密雲観測所には、他に1990年に完成した直径15 mの電波望遠鏡があった。この望遠鏡は、国家天文台に組織改編された後、直径50 mのパラボラアンテナに置き換えられ、パルサーの電波観測や、嫦娥などの探査機との通信も行っている。
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