実験室で使用される蒸留塔
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/19 04:57 UTC 版)
小スケールの実験で使用されるもっとも単純な蒸留塔はト字管であり、気化は通常のフラスコを水浴や油浴などで加熱することで成される。また、凝縮器はリービッヒ冷却器が使用されこれをト字管の側管に接続する。 塔内で凝縮した液滴が蒸気の流れによって冷却器の方に運ばれてしまい精製効率が低下するのを防ぐためにト字管の代わりにK字管(クライゼンヘッド)が使用されることもある。また沸点が室温より若干高い程度であったり、水のように凝縮熱が大きかったりして、凝縮しにくい液体を蒸留する場合には、リービッヒ冷却器の代わりにより効率の高いアリーン冷却器やリービッヒ-グラハム冷却器が使用される。沸点が室温以下の液体を蒸留する場合には、冷却器に流す冷媒として冷却した不凍液などを使用したり、デュワー冷却器によりドライアイスや液体窒素で冷却して留出物を捕集する。また、分留を行う場合には、二又アダプターを使用したり、パーキントライアングルのようなフラクションカッターを使用して各留分を分別捕集する。 精留する必要がある場合には、塔内の壁面に角をつけて気液接触面積を増やしたビグリューカラムのような精留用のカラムが使用されることもある。また工業的にはあまり使用されないが、実験室で使用される高性能の精留塔として回転バンドカラム(スピニングバンドカラム)がある。これは蒸留塔内部で蒸留塔にぴったりフィットする螺旋形の撹拌羽根を高速回転させるものである。蒸留塔内を降下する液滴は高速回転する羽根の表面で強制的に広げられて薄膜を形成する。そのため気液接触面積を強制的に大きくすることができ、高い理論段数が得られる。 よりスケールが大きくなった場合には工業的に使用される蒸留塔(棚段塔や充填塔)のミニチュアの装置が使用されることもある。
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