定期昇給との違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/14 09:35 UTC 版)
賃金の上昇額や率を計測する概念には、他に定期昇給(定昇と略すことが多い)があるが、賃金交渉の実務上は、ベースアップと定期昇給は区別される。 たとえば、2005年から2006年にかけて、次のような基本給(月額)の変化があったとすると、ベースアップ額と定期昇給額は以下のように別なものとして計算される。 ベースアップと定期昇給の違い30歳31歳2005年250,000円260,000円2006年253,000円263,000円ベースアップ額 30歳に対して253,000-250,000=3,000(円) 31歳に対して263,000-260000=3,000(円) 定期昇給額 2005年について260,000-250000=10,000(円) 2006年について263,000-253000=10,000(円) ここで、2005年に30歳であった従業員は2006年には31歳になっているのだから、1人の従業員が経験する賃金の上昇は、定期昇給額10,000円とベースアップ額3,000円の和になっている。逆に言えば、こうした給与表のもとでは、1年間の給与の伸びは、ベースアップ部分と定期昇給部分に分解できる。このような分解によって、賃金交渉の根拠がより明確になり、効率的な賃金設計ができることになる。 このうち、ベースアップ額はすべての労働者の名目賃金を底上げするものであり、インフレなどの貨幣的な要因の他、資本装備率の向上などによる企業全体の生産性向上を反映したものである。一方、定期昇給額は特定年齢層の従業員が1年勤続を積み増すことで得られる賃金の伸びに対応するものだから、その年齢層の教育訓練がもたらした労働生産性向上部分に相当する。 労働組合と企業との間での賃金交渉においては、企業収益の増加部分に対する労働生産性の貢献度合いをめぐって、ベースアップの有無およびその度合いが交渉のポイントとなることが多い。
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