安楽死処分に関する議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/22 08:01 UTC 版)
「クヌート (ホッキョクグマ)」の記事における「安楽死処分に関する議論」の解説
「動物愛護団体がホッキョクグマの人工哺育は種のあり方に反するため、クヌートを安楽死させろと主張している」との捏造記事が発端となり、人工哺育や動物園のあり方についての議論がドイツ国内外で巻き起こった。 ドイツの大衆芸能紙「ビルト」が2006年1月26日付けで、動物愛護活動家フランク・アルブレヒトが人工哺育はシロクマの種のあり方にふさわしくないため、クヌートを薬殺処分するべきだと主張していると事実誤認の記事を掲載した。当初はこの記事が特に注目を集めることはなかったが、3月下旬の一般公開直前にドイツの週刊誌「シュピーゲル」があらためてこの記事を取り上げ、他の多くのメディアが同記事を引用したことから、「安楽死の是非」についての議論が巻き起こった。さらに各通信社によって世界中に「一部の動物愛護団体が、シロクマの人工哺育は自然の法則に反すると安楽死を主張したが、動物園側はこれに「世界で最も絶滅危惧にひんした動物だ」と反論。ガブリエル環境相も3月23日に「最も地球温暖化を象徴する存在」として園の立場を擁護した。 ドイツでは人工飼育の是非をめぐって論争になっている」として配信されたため、世界各国でも大きく報じられた。この議論に対してアーヘン動物園長のヴォルフラム・グラフ=ルドルフをはじめ、他の動物園関係者や動物愛護団体からも、「ベルリン動物園はもっと早くにクヌートを処分する勇気を持つべきだった」と安楽死を支持する声が上がったと報じられた。 その後、アルブレヒトやグラフ=ルドルフに対し、ドイツ国内外からの脅迫状が殺到したことなどもあり、ドイツやイギリス、オーストラリアなどのメディアの一部は、この論争の検証を行った。アルブレヒトの発言とされるものは実際には、前年にライプツィヒ動物園で同様に母グマに遺棄されたナマケグマの仔が安楽死させられたことへの抗議についてのものである。ライプツィヒ動物園側が「人工哺育は人道的ではなく、動物の権利を侵害する」と主張していたのに反論し、「ライプツィヒ動物園の理論に従えば、ベルリン動物園もクヌートを殺していなければならなかったことになる」と発言したものであったことや、グラフ=ルドルフがクヌートに関する一切の発言を否定していることなどを明らかとし、謝罪している。 また、2010年、PETAが近親交配の回避を理由にクヌートの去勢を求めた。
※この「安楽死処分に関する議論」の解説は、「クヌート (ホッキョクグマ)」の解説の一部です。
「安楽死処分に関する議論」を含む「クヌート (ホッキョクグマ)」の記事については、「クヌート (ホッキョクグマ)」の概要を参照ください。
- 安楽死処分に関する議論のページへのリンク