太鼓物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/06/30 00:50 UTC 版)
能管、小鼓、大鼓、太鼓によって奏される働事には「舞働」、「打合働」、「イノリ」(祈)、「立廻り」(上記参照)がある。太鼓物の通例として、シテの役柄はことごとく人間ではない「異類のもの」に限られる。 舞働 神、龍神、天狗、鬼畜など異類のシテが、その神秘的な力を示して勇壮にたちはたらく働事で、特に勇壮活発に演じられる。一段二節または二段三節、笛・鼓ともにノリ拍子で、笛は呂中干ノ地をもとにした譜を吹く。多くシテは早笛で登場し、勢いよく演じるが、『玉井』のシテは特に位を重く、しずかに奏する。また『船弁慶』『鞍馬天狗』など、白頭の小書がつくと位が重くなる。 打合働 舞働のうち、特にシテとツレまたはワキが一対一で闘争する場面を主にしたものを指す(『舎利』『龍虎』)。囃子事としてはほぼ舞働に等しいが、位はさらに早くなる。 イノリ 鬼、怨霊、悪霊など異類の怒り猛ったシテを僧、山伏などのワキが調伏する闘争のさまを描いた働事で、『道成寺』『葵上』『黒塚』にしかなく(流儀によっては『飛雲』にもある)、順に真行草のイノリとされることもある。三段四節、鼓はノリ拍子、笛はアシライを吹き、太鼓はイノリ地と呼ぶ特殊な手組みを打つ。
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