大衆民主制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 04:16 UTC 版)
西欧諸国における政府の職能=行政サービスの拡大傾向は20世紀に入って以降さらに一段と加速され、政府の財政規模と公務員数を膨張させた。だが、それはもはや単なる量の膨張に留まるものではなく、次第に質の変化も伴い始めていたのである。すなわち、福祉国家への旅立ちであった。もっとも、何をもって福祉国家と呼び、その起点をどの時期に求めるべきかという点については諸説入り乱れていて定説はないが、ここでは、福祉国家への起点を19世紀から20世紀への世紀展開期に求めたい。 その理由は、おおむね各国で下記のことがあったからである。 労働組合が結成され、労働運動が活発になり、階級対立が激化してきたこと。 これに伴い選挙権が徐々に拡張され、ついには成人男性全てに選挙権を付与する普通平等選挙制度が施行されたこと。 選挙権の拡張によって新たに有権者となった国民大衆の支持を獲得するために、各党は競って社会政策・労働政策・産業政策を政策綱領に掲げ、これを政党政治の主要な争点にするようになったこと。 要するに、政治制度における大衆民主制の実現こそが、現代国家をして福祉国家への道に歩み出させたもっとも基本的な契機であったと考えるのである。
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