大虫神社の太刀振り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 00:47 UTC 版)
祭礼行事の太刀振りは、2社を奉納する途中で各戸を巡回し、村内の無病息災や悪病退散と五穀豊穣を祈念したのがはじまりと伝わる。第二次世界大戦以前は、刀身に各家にあった真剣を用いたので切れ味がよく、怪我をする者もいたため、祭が近づくと鍛錬に励み、当日は朝から塩水を飲んで身を清めて太刀を振った。21世紀初頭においては保存会所有の模造刀を使用し、持ち手は桑で作られている。この太刀の長さは数種類あり、腕を上げて手首の高さに刃先がくる長さのものが望ましい。振り子には、小学3年生から中学3年生までの男子が参加する。 振り方は、太刀を振る場所や目的によって、3種類が戦前から変化なく伝承されている。神社への奉納舞で振られるホンブリは1番から5番までの徐々に難易度が上がる5種類の振り方で構成され、その前段として参道を進む時に舞うミチブリと、石段を上がる時に舞うダンブリがある。ホンブリの5つの型の特徴は、次の通りである。 飛び跳ねる動作がない。 両手で太刀を振り、飛び跳ねる動作が入る。 片手で2番の振りをする。 飛び跳ねる動作の難易度が上がる。 4番よりさらに難易度が上がる。 ホンブリは宵宮の門付けでも披露されるが、この時に振るのは1番から3番までで、これはすべての児童が振ることができるものとされているが、4番5番は下級生の児童には難しく、上級者しか振ることができない。そのため、神社奉納の際には3番まで振った後でその先を振れない者は列から抜ける。太刀振りの囃子は太撥と細撥の太鼓を基本とし、奉納では神楽組から笛が加わる。太鼓の叩き方は、「ミチブリ」「ダンブリ」「ホンブリ」の1番から5番までですべて異なり、振り子はこれを聞き分けて太刀を振る。 刀身にも4種類あり、模様が無いものを「ノーマル」、1本線が入ったものを「カク」、波目の文様が入ったものを「ナミ」、1本線と波目が共に入ったものを「ナミカク」と称する。刀身と柄の結合部分に飾る白い和紙飾りは、かつてはただ「飾り」と称したが、和紙をくるくると丸めてボリュームを出すことから近年は「パーマ」と呼ばれ、宵宮の前日に振り子が自ら作る。
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