大アルバニア主義への懸念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 13:45 UTC 版)
「コソボ地位問題」の記事における「大アルバニア主義への懸念」の解説
大アルバニア主義は、コソボをはじめとするアルバニア国外でアルバニア人の居住する地域をアルバニアへと統合することを目指す民族統一主義であり、アルバニア人が多く住む地域を有する国々、特に北マケドニア共和国において国の分裂を招きかねない大きな脅威となっている。 コソボ政府は、アルバニアを含むいかなる国との連合にも否定的であり、また、コソボよりも経済発展の遅れた国と考えられるアルバニアとの合併にはメリットが少ない。また、アルバニア政府もコソボとの統合には否定的である。コソボはアルバニア人のみのものではなく多民族国家であり、コソボ憲法ではコソボは民族などの別によらない自由平等の多民族国家であると規定されている。こうした点から、コソボ独立を支持する立場は、コソボの独立を大アルバニア主義の実現とする批判は当たらないとしている。 他方で、コソボの独立運動は、コソボで多数派を占めるアルバニア人による民族統一主義の一端にすぎないという見方もある。コソボのアルバニア人はアルバニア国旗および国章である鷲を独立運動のシンボルとして掲げている。コソボ独立に刺激を受け、北マケドニア共和国、モンテネグロ、セルビア本国、ギリシャのアルバニア人地域を巻き込んでの大アルバニア主義の台頭が懸念されている。2008年前半、北マケドニア共和国において、隣接するコソボの国家承認の是非は国論を二分する議論となった。即時の独立承認を主張するアルバニア系政党アルバニア人民主党が、連立与党を組む内部マケドニア革命組織・マケドニア国家統一民主党と対立して連立与党が解体され、2008年5月には総選挙が行われた。モンテネグロは、コソボの独立承認に肯定的な立場を表明しつつも、政治的・経済的に結びつきの深い隣国であるセルビアとの関係にも苦慮してきた。 2008年10月9日、大アルバニア主義の脅威をもっとも強く受ける2つの隣国、北マケドニア共和国とモンテネグロは、そろってコソボの独立を承認した。
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