多様性の少なさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 09:53 UTC 版)
「インフルエンザウイルス」の記事における「多様性の少なさ」の解説
B型インフルエンザウイルスのHAとNAには、A型に見られるほどの多様性がない。このため亜型による分類は行われないが、HAの抗原性の違いから、それぞれの流行株はB/ビクトリア/2/87と、B/山形/16/88という2つのグループに大別することができる。A型の流行期には全世界でほぼ同一の株が流行するのに対して、B型ではこの2つのグループに属する異なる株が世界中に混在した形で流行することが多い。しかしながら、それぞれの抗原の差異はA型に比べて小さいため、B型に対する免疫やワクチンはほぼ同一、すなわちB型の中の特定の株にのみ有効なのではなくB型のいずれかに感染、あるいはワクチン接種すれば、B型全てに対してほぼ一定の効果を得られ、A型に比べて持続時間が長いことが多い。 B型はヒトには感染するが、他の動物に感染した例はほとんど報告されていない(※)。このため種を超えた不連続変異の問題は少なく、B型のウイルス変異では連続変異が中心だと言われてきた。このことも本ウイルスにA型ほどの多様性が見られない理由の1つだと考えられている。しかしながら異なる株が同時期同地域に共存しており、少なくともヒトの間では不連続変異による組み換えが起きていることも明らかになったため、このことと疾患との関係が明らかにされつつある。 (※)従来、B型の自然宿主は人のみであると考えられていたが、1999年にオランダの海岸に打ち上げられていたアザラシからB型ウイルスが分離されたという報告があり、その後の研究でもアザラシがヒト由来のインフルエンザウイルスを保有できることが示唆されている。
※この「多様性の少なさ」の解説は、「インフルエンザウイルス」の解説の一部です。
「多様性の少なさ」を含む「インフルエンザウイルス」の記事については、「インフルエンザウイルス」の概要を参照ください。
- 多様性の少なさのページへのリンク