多変数の冪級数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/11 13:00 UTC 版)
理論の拡張は多変数微積分学の目的のために必要である。ここで冪級数は f ( x 1 , … , x n ) = ∑ j 1 , … , j n = 0 ∞ a j 1 , … , j n ∏ k = 1 n ( x k − c k ) j k {\displaystyle f(x_{1},\dots ,x_{n})=\sum _{j_{1},\dots ,j_{n}=0}^{\infty }a_{j_{1},\dots ,j_{n}}\prod _{k=1}^{n}\left(x_{k}-c_{k}\right)^{j_{k}}} の形の無限級数として定義される。ただし j = (j1, ..., jn) は自然数のベクトルであり、係数 a(j1,...,jn) は通常実数か複素数であり、中心 c = (c1, ..., cn) と引数 x = (x1, ..., xn) は通常実あるいは複素ベクトルである。記号 Π {\displaystyle \Pi } は総乗を表す。より便利な多重指数表記を用いてこれは f ( x ) = ∑ α ∈ N n a α ( x − c ) α {\displaystyle f(x)=\sum _{\alpha \in \mathbb {N} ^{n}}a_{\alpha }\left(x-c\right)^{\alpha }} と書くことができる。ただし N {\displaystyle \mathbb {N} } は自然数全体の集合であり、したがって N n {\displaystyle \mathbb {N} ^{n}} は順序付けられた n 個の自然数の組全体の集合である。 そのような級数の理論は一変数の級数よりもトリッキーで、収束域は複雑である。例えば、冪級数 ∑ n = 0 ∞ x 1 n x 2 n {\displaystyle \sum _{n=0}^{\infty }x_{1}^{n}x_{2}^{n}} は2つの双曲線の間の集合 { ( x 1 , x 2 ) : | x 1 x 2 | < 1 } {\displaystyle \{(x_{1},x_{2}):|x_{1}x_{2}|<1\}} で絶対収束する。(これは log 凸集合の例である、つまり ( x 1 , x 2 ) {\displaystyle (x_{1},x_{2})} が上の領域に属するときの点 ( log | x 1 | , log | x 2 | ) {\displaystyle (\log |x_{1}|,\log |x_{2}|)} 全体の集合は凸集合である。より一般に、c = 0 のとき、絶対収束領域の内部は常にこの意味で log 凸集合であることを示すことができる。)一方、この収束領域の内部では、通常の冪級数のときとまったく同様に、項別に微分・積分ができる。
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