外交と戦争の違いと相互影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 04:49 UTC 版)
戦争は対外政策の一部であるけれども外交ではない。戦争というのは国家間の争点を武力によって解決しようとするものであるが、それに対して、外交は建前として国家間の争点を平和的に解決しようとするものなのである。 現代においては兵器の高額化や軍隊の大規模化、大量破壊兵器などの開発によって戦争のコストやリスクが飛躍的に高まっており、戦争に繋がる事件が発生しても、その戦争の発展を抑制しできるだけ外交交渉により解決しようとする傾向が強まっている。 1992年には冷戦終結後世界各地で増加しつつあった地域紛争を予防するための予防外交という概念が国連のブトロス・ブトロス=ガーリ事務総長によって提唱され、これを受けて国際連合保護軍がマケドニア共和国に派遣され、また国際連合平和維持活動が大規模化・強化された。これによってマケドニアでは国際連合予防展開軍へ改組されたのち紛争の予防に成功したものの、ソマリア内戦(UNOSOM II)やボスニア・ヘルツェゴビナ紛争(UNPROFOR)では紛争の抑止に失敗し、国際連合ルワンダ支援団(UNAMIR)でもルワンダ虐殺を阻止することはできなかった。 とは言うものの、カール・フォン・クラウゼヴィッツは有名な『戦争論』において「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」とし、戦争を外交の一種とみなしたわけであり、軍事と外交は密接な関係にあり、歴史上多くの戦争は外交と連動して行われている。利害調整のための討論や降伏勧告など、軍事と外交が交錯する領域はある。 現代においても軍事力は外交に大きな影響を及ぼしている。たとえば軍事演習や部隊配備による軍事プレゼンスは外交交渉に大きく影響しており、また実際に戦端が開かれれば軍事力の有無が国際関係を大きく変化させ、軍事的優位が外交的優位に繋がることもある。現実問題として軍事戦略と外交戦略は影響しあっており、軍事力によって相手国の存続を脅かすことは直接的な交渉材料となりうる。 「強制外交」、「デタント」、「勢力均衡」、「安全保障」、および「戦争」も参照
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