変光星の観測方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/30 20:57 UTC 版)
変光星の観測方法としては、眼視観測、写真観測、冷却CCD観測、光電測光の4種類があり、特に初心者向けの観測方法である眼視観測は「比例法」と「光階法」の2種類がある。 比例法では、まず観測する変光星より少し明るく見える星と少し暗く見える星の2つを基準星(比較星)としてとる。この時、基準星が変光星だったりした場合、観測の意味がなくなるので注意する必要がある。また、2つの基準星の明るさの差は1.0等以内であるのが望ましいとされ、さらに、赤っぽい星は誤差の原因となるため避けたほうがよいと言われる。先入観を避けるため、予め基準星の明るさを調べておく必要は無い。基準星をとったら、2つの基準星の明るさの差を目分量で10等分し、さらに変光星の明るさがそのどこに当てはまるかを考える。明るい基準星の明るさをa、暗い基準星の明るさをb、変光星の明るさをvとして、ちょうど変光星がその中間の明るさなら a 5 v 5 b 、 どちらかといえば a に近いなら a 3 v 7 b や a 1 v 9 b 、b に近いなら a 6 v 4 b や a 8 v 2 b などというように記録する。最初のうちは、3等分や5等分で考えても良い。観測が終わったら、基準星のそれぞれの明るさを調べ、変光星の明るさを計算する。例えば、aの明るさが6.83等、bの明るさが7.52等であり、a 3 v 7 b と観測したのであれば、変光星の明るさは、6.83 * (10-3)/10 + 7.52 * (10-7)/10 = 6.83 * 0.7 + 7.52 * 0.3 = 4.781 + 2.256 = 7.037 ≒ 7.0 等級となる。この方式は、簡単なため初心者にもすぐにできるという長所があるが、比較星を2つ探すのが難しい、比較星と観測する星が双眼鏡や望遠鏡の同一視野に収まらないことがある、精度がある程度以上に高くならないなどの欠点がある。 光階法では、自分が見分けられる最小の等級差(1光階)の値を用いる。これには、以下のような基準を用いる。 0光階 - 何回比べてもまったく同じ明るさに見える。 1光階 - ほとんど同じ明るさに見えるが、何回か比べると時々片方が明るく見えることがある。 2光階 - 片方が明るく見えることが多いが、何回か比べると時々同じに見える。 3光階 - 一方がやや明るく見える。 4光階 - 一方が明るく見えるが、差はあまり大きくない。 5光階 - 一方がかなり明るく見える。 人によって、熟練度、機材、視力、その日の体調などが関係し、1光階の値が異なるため、予め光度の分かっている星で光階法の測定を行い、自分の1光階の値を確認しておく。すると、基準星と変光星との光階差、基準星の明るさを用いて、変光星の明るさを測定することができる。なお、1光階の値は、初心者で0.2等級、熟練者で0.08等級前後と言われている。この方法の長所として、基準星が一つで済むこと、慣れると高い精度の観測ができることがあるが、短所としては、やや難しいことと、時々自分の1光階の値を確認する必要があることなどがある。
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