報道用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/13 23:53 UTC 版)
報道用語としての「撃沈」とは、少なくとも戦前の日本では、自国の軍隊が敵艦を沈没せしめることを形容したもので、自国艦の沈没時には用いられなかった用語である。戦意高揚のために、新聞紙面で敵艦を沈めた時に多く使われた。この場合も敵味方を問わず、砲撃、爆撃、雷撃、接触雷により艦船を沈没させることを指す名詞(サ行変格)である。 「轟沈」も報道用語として戦争報道で用いられる。これは自国の軍隊が敵艦を沈没せしめることを派手に形容したもので、あっと言う間に見事に沈没させたこと(=時間を掛けて苦戦しながら沈めたのではない)を強調し短時間での沈没状況をさすことが多いが、そうでない場合(例えばマレー沖海戦の報道)で用いられるケースもあった。 また「轟沈」は日露戦争における、旅順港封鎖作戦で機雷によるロシア戦艦ペトロパウロウスク撃沈の報道に使われたのが最初ではないかという説がある。太平洋戦争時の大本営発表では「轟撃沈」「轟爆沈」という、合わさった表現も見られる。戦争中の新聞記事では連日、敵艦「撃沈」「轟沈」の文字が紙面を賑わせ、(事実とは異なっていても)日本軍の華々しい勝利を強調していた。 撃沈も轟沈も、敵艦を撃沈した時には使われたが、自国艦が沈められた時の報道では決して用いず、「沈没」「喪失」などと控えめな表現で記述された。当然、敵方や第三者による報道の場合、これにあてはまらない。
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