国境の透過性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 01:51 UTC 版)
透過性というのは、国境を越えてどの程度容易に人やモノが往来できるか、ということ。 国境にどの程度の透過性を与えるかは、各国政府が決定する。たがいに接する国どうしで、どれだけ人やモノの行き来があってよいと考えるか、というのは各政府が決定している。透過性の程度に応じた物理的な障壁が設けられる。透過性が高くてよいと判断されれば物理的な障壁は無いに等しい状態(自由に行き来できる状態)になり、透過性は低くすべきだと判断されれば壁・柵・フェンスなどの障害物が設置される。また査証の発行の審査の厳しさ、在留資格の許可数、非合法で入国した労働者取締の強度などでも透過性を制御する。 国境にどの程度の透過性を与えるかは、それぞれの国の政府が決定している。政治制度が極端に異なる国と国の国境、たとえば資本主義国と共産主義国が接する国境では、自由に行き来ができなくする、つまり透過性を低くすることが一般的である。 透過性を高く設定している場合(自由な往来を許している場合)は、国境に、標柱や標識しか設置されていない場合がある。この場合、人やモノが、国境を越えて自由に行き来する。たとえばEU圏内の国と国の国境は、自由自在に行き来できる(EU内の国々の国境線は、まるで日本国内の「県境」のように、自由に越えて往来できる) 政府が陸上の国境の透過性を低くすると決めた場合は、柵、壁などの障害物を設置することで往来を困難にし、往来を特定の国境検問所のみに制限し、遮断機を設置する。また国際空港や陸上の国境検問所では、出入国管理(パスポート・コントロール、イミグレーション・コントロール)を行ない、財物や人の往来を制御する。 特に意図的に透過性を低く設定している場合(つまり、往来を徹底的に阻止している場合)は、壁や地雷原などにより、二重三重に封鎖され、人の往来が許されない。ドイツが東西に分割されていた当時の境界(ベルリンの壁)などがその例である。現在も次のような例がある。 北朝鮮と韓国の国境(軍事境界線 (朝鮮半島)) 沿ドニエストル共和国の国境(「沿ドニエストル共和国」というのは、モルドバの一部にロシア軍が入り込み、実効支配して「沿ドニエストル共和国」を名乗っている(自称している)領域。「ちいさなソ連」のような国。ソ連のような旗をかかげており、外国の人はめったに入国できない。入国できても、滞在が許されるのは2時間だけ、しかも入国している間ずっと監視者が張り付く。) このような国境線は、線のあちらとこちらで、政治体制が全く異なり人権や自由の有無もはっきり分かれる。これは「自由」や「言論の自由」や「人権」の境界線でもある。
※この「国境の透過性」の解説は、「国境」の解説の一部です。
「国境の透過性」を含む「国境」の記事については、「国境」の概要を参照ください。
- 国境の透過性のページへのリンク