国債発行と経済政策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/27 02:10 UTC 版)
1980年代後半のバブル経済の頃は好況により税収が多く、日本の国庫は潤っており、国債の発行額もそれほど多くはなかった。しかし、バブル経済が崩壊して税収が減少すると、それにともなって歳入が減少した。併せて、景気浮揚を目的にした財政出動が何度も行われた結果、国債を大量発行するようになり、発行残高は急激に増加していった。国債の大半は固定金利であるため、デフレーションにより名目成長率が伸び悩むことでGDP比の債務が増大しやすくなっている。 不況の長期化により歳入の伸びは低迷した。その結果、継続償還資金が不足し、政府は償還を目的に追加で国債を発行するようになった。新規国債にたいして、この国債を借換国債という。この場合、事実上償還されていないことになり、国債の発行額はさらに増える。バブル経済崩壊後、日本は新規国債、借換国債ともに発行額が増加している。 利息元金の返済(償還)に対する懸念がクローズアップされ、財政再建推進政策推進の機運が盛り上がる局面もあった。しかし、財政再建などに由来する危機的な景況悪化に際して、政府による財政出動と日銀による引き締め政策が行われた。グローバリゼーションや競争の激化により日本におけるデフレの大きな構造的懸念を指摘する向きもある。これらの事情により、経済政策の方向性は定まらず、日本経済の実力を大きく損なっている。 財政政策に関しては、以下のような反論がある。 投資の機会費用がROIを上回った状態にある。また、インフレーション期待の生成を怠った結果流動性の罠に陥り量的緩和政策が効かない状態にある。 潜在成長率の低下の問題や金融政策の限界により財政政策は適切ではない。 金融政策の効果を発揮できる状態に戻すためには構造改革が必要である。
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