固有植物ホットスポット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 08:48 UTC 版)
「日本の高山植物相」の記事における「固有植物ホットスポット」の解説
2005年、維管束植物の固有種数が多いのにもかかわらず原生生態系の喪失度が大きい、豊かな生物多様性に恵まれながらその生物多様性が危機に瀕している全世界の34地域が「生物多様性ホットスポット」として選定された。日本は豊かな生物多様性に恵まれながら生態系が危機に瀕している地域であるとして、34地域の一つに選ばれた。 日本国内においても固有維管束植物の分布状況から、2010年の2月までに固有種が多く見られる地域について解析が行なわれた。その結果、固有種の指数が全国で5位の場所に北海道の夕張岳、6位が赤石山脈の北岳、7位が北海道のアポイ岳、8位が八ヶ岳、9位が赤石山脈の赤石岳、10位が岩手県の早池峰山という結果が出され、著名な高山植物の産地が日本国内でも固有の維管束植物に恵まれた貴重な場所であることが改めて示された。 固有の維管束植物が多く見られることが明らかとなった夕張岳、北岳、アポイ岳、八ヶ岳、赤石岳、早池峰山を並べてみると、大きく分けて2タイプに分類できることがわかる。本州中部の高山帯に属する北岳、八ヶ岳、赤石岳と、石灰岩やかんらん岩、蛇紋岩地である夕張岳、北岳、アポイ岳、早池峰山である。北岳、八ヶ岳、赤石岳などの本州中部の高山帯は、繰り返される氷期の間に北方から南下してきた高山植物が氷期が終了した後も遺存して、やがて固有種にまで分化が進んだものと考えられ、大陸などから隔離された島嶼に固有種が多いのと同様の理由であると考えられる。一方、石灰岩地やかんらん岩、蛇紋岩地の山地に固有種が多く見られる事実は、やはり繰り返しやってきた氷期の間に北方から分布を広げた植物が、氷期が終了した後も植物の生育に必ずしも適さない特殊な環境によって新たな種の侵入から守られるとともに、特殊な環境に適応した植物へと分化が進んだためと考えられている。
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