固定翼機の着陸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 09:44 UTC 版)
多くの固定翼機では、動力を抑えて滑走路に接近し、失速寸前の速度まで安全に減速し、滑走路の着陸帯に接地(タッチダウン)する。その後、路面を滑走してブレーキやスポイラー・逆噴射装置を使い減速・静止を行う。 一般に、機体が重いほど、着陸に要する滑走距離が長くなる。これは定性的には、揚力の式から伺うことができる。降着装置・滑走路の強度や乗り心地の点から、沈下速度があまり大きくないようにするには、揚力 L と重量 W は大きく違ってはならない。したがって、空気密度をρ、飛行速度を U, 翼面積を S, 揚力係数を CL とすると、 W ≃ L = 1 2 ρ U 2 S C L ⇒ U ≃ 2 ρ C L W S {\displaystyle W\simeq L={\frac {1}{2}}\rho U^{2}SC_{L}\quad \Rightarrow \quad U\simeq {\sqrt {{\frac {2}{\rho C_{L}}}{\frac {W}{S}}}}} となる。実際には翼面積は機種によって変わる(重い機体ほど大きい)ため、一概には言えないものの、重量の増大が着陸速度の増大に寄与することはわかる。W/S を翼面荷重と呼ぶことがある。 航空機の自動操縦化にともない、滑走路への着陸では自動操縦が実現されている。計器着陸装置(ILS; Instrument Landing System)によって着陸進入は古くから自動化されている。近年、ILSの性能向上により、ILSカテゴリーIIIにおいては滑走路への接地の操縦も自動化が可能となっている。 着陸における事故は航空事故の3割を占めるといわれ、着陸は航空機の操縦において、難しい操作のひとつとされる。この理由として、航空機が着陸態勢に入るためにフラップなどの高揚力装置や着陸装置(ランディング・ギア)などの多くの装置を稼動させなくてはならないこと、上空を巡航する状態に最適化されている航空機に着陸態勢は負荷の大きい状態であること、広大な空間を飛行していた航空機が狭く平面的な空間である滑走路に接地するため精密な制御が必要であることが挙げられる。
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