哲学研究の道程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/01 17:17 UTC 版)
その後、近代の意識哲学の脱構築を問題意識として抱懐しながら、とりわけ身体表現-身振りとしての言語-比喩(すなわち非字義的表現)などの問題群を考究することになる。ここから、彼は英米系の分析哲学(とりわけ言語哲学ないし心の哲学)との対質を自覚的に試みている。彼が親炙したのは、どちらかというと非正統的な哲学者であるウィルフリド・セラーズ (W. Sellars)、特にネルソン・グッドマン (N. Goodman) であった。(グッドマンに関してはその著作の翻訳を試みている。)この事態には正統的な分析哲学への彼の深い不満が窺える。この点は後にマーク・ジョンソン (M. Johnson) の著作を翻訳することにもつながる。 いうまでもないが、チャールズ・サンダース・パースとフェルディナン・ド・ソシュールを源泉とする記号学への本格的な取り組みも同じ動機に発している。 哲学の隣接領域についていえば、<意味>や<記号>の問題を介して、とりわけ文化人類学における構造主義の展開を追尾しつつ、文化人類学者として出発しながら後に言語哲学者あるいは認識論者として独自な地歩を築いたダン・スペルベル (D. Sperber) の業績に影響を受けつつそれを我が国に紹介する役割を演じた。 本来の形而上学的探究と並び、生命倫理や教育哲学(この呼び方は確かなものではないが)などの領域においても研究を行っている。こうした研究履歴の帰趨として、現在、とりわけパースの影響の下に<記号主義> (semioticism) という形而上学を提唱している。この見地から記号学、人間学、認識論、実践哲学など――一口に言うと「哲学」――の再構築を試みつつある[要出典]。
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