周波数シフター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 17:51 UTC 版)
原音のすべての周波数成分において同じ周波数だけシフトするものでピッチシフターとは異なる。周波数シフター発生の簡明な原理は、原音に対して、鋸波による位相変調することにつきる。変調率50%、最大位相をπにとることにより歪なく周波数をシフト、すなわち±Δfの値だけ周波数をシフトすることなる。出力は原音とは異質である、つまり原音のフォルマントの構成が乱れることである。そのため、一般的なエフェクターとしては使用できない。しかし、数ヘルツのシフトでは聴感上大きな問題とはならないという報告がある。 リングモジュレーター 原音と別信号との掛け算を行う。つまり原音の音量をその別信号により変化させる(ただし、マイナス側にも振られる=位相が反転する)と解釈でき、振幅変調(AM)と良く似た関係にある。 単純な例として正弦波sin(Mt)で原音sin(St)を変調することを考える。ここでMとSはそれぞれの周波数、tは時間である。両者を掛けるとsin(Mt)sin(St)となり、これは三角関数の加法定理により0.5{cos(S-M)t - cos(S+M)t}と書ける。変調の周波数Mが数Hzと低い場合、両成分の干渉により2MHzのうなりを発生し、トレモロのような効果が得られる。1kHz前後で変調すると両者が実際の楽器の音では複雑な非整数倍の成分となり金属的な歪んだ響きとなる。例えばピアノの音を変調すると鐘の様な音に変化する。通常の使用例としては、2つの音を入力とし、その2つの周波数の加算周波数と減算周波数の2つの音を出力することによって金属的な音を出すことが多い。名称に「リング」とあるのは、その回路がリング状になっていることから。
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