合成分子機械
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/25 06:37 UTC 版)
合成分子機械は有機化学的に合成された分子マシンであり、光、熱、pH変化、酸化還元などの外部刺激に応じて分子の構造が変化する。ナノテクノロジーの中で化学的な領域の一角を占めるものとして注目されている。 ロタキサンやカテナンといった超分子的モチーフを用い、リングのひも上の位置(ロタキサンの場合)あるいは、二つのリング(カテナンの場合)の相対的な位置が刺激に応じて変化するもの 分子内の一部分が他の部分に対して一方向に回転する、あるいは回転のon/offを制御できるもの ゲスト分子・イオンに対する親和性が刺激(光・酸化還元・第三の物質の添加など)に応じたホスト分子の構造変化によって変化するもの ゲストとして捕えたイオンの捕られた位置が、刺激に応じて変化するもの といった例が実現されている。 具体的には シャトルロタキサンを用い、pH変化、光照射などによって環状部位がひも状部位の上を前後に動く。 ギア ピンセット(tweezer) 回転ドア(turnstile) ローター化学物質、あるいは光・熱刺激によって一方向に回転する「分子ローター」が作られている。 そもそも有機分子は多少なりともコンフォメーションの自由度を持っており、分子の形状(=分子内での原子の相対座標)を変化させることができるため、合成分子機械を定義づける条件は定まりきっていない面もある。現時点では、 刺激に応答して、明確な方向性を持つ動きを起こす。 同じ動作を繰り返して起こすことができる(2種類・あるいはそれ以上の複数の状態の間を周期的に遷移できる)。 動きがなんらかの分光法によって観測できる。 という性質を持つ分子を分子機械と呼ぶことが多い。(たとえば、液体のトルエン一分子を見た場合、メチル基はベンゼン環に対して回転しているはずであるが、一方向に回転させたり、回転のon/offを刺激に応答して変えたりというような「意味のある」ことを起こすことは難しいと考えられる。このように、分子の動きが制御できない場合は、分子機械とは呼べない。)
※この「合成分子機械」の解説は、「分子マシン」の解説の一部です。
「合成分子機械」を含む「分子マシン」の記事については、「分子マシン」の概要を参照ください。
- 合成分子機械のページへのリンク