古ローマ筆記体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/28 18:35 UTC 版)
古ローマ筆記体は、大文字の筆記体とも呼ばれ、日常的な手書き書体で、商人が帳簿をつけたり、学校の生徒がラテン文字を習うのに使ったり、あるいはローマ皇帝が詔勅を書くのにも使われた。より正式の書き方はローマ大文字体であったが、筆記体は急いで非公式に書くときに使われた。紀元前1世紀から西暦3世紀にかけてもっとも一般的に使われたが、おそらくそれ以前から存在したと思われる。紀元前2世紀はじめに、プラウトゥスはプセウドールスにおいて、筆記体の読みにくさについて以下のように記している。 Calidorus: Cape has tabellas, tute hinc narrato tibi quae me miseria et cura contabefacit. Pseudolus: Mos tibi geretur. Sed quid hoc, quaeso?Calidorus: Quid est?Pseudolus: Ut opinor, quaerunt litterae hae sibi liberos: alia aliam scandit.Calidorus: Ludis iam ludo tuo?Pseudolus: Has quidem pol credo nisi Sibylla legerit, interpretari alium posse neminem.Calidorus: Cur inclementer dicis lepidis litteris lepidis tabellis lepida conscriptis manu? Pseudolus: An, opsecro Hercle, habent quas gallinae manus? Nam has quidem gallina scripsit.カリドールス: この手紙を手に取って、どんな災いと困難が私を悩ませたかを語ってほしい。プセウドールス: そうしてみましょう。しかし、これは何ですか?カリドールス: 何が?プセウドールス: 私の考えでは、この字たちは子供になりたがっているようです。ひとつの字が別の字に乗っている。カリドールス: いつもの君の冗談かね?プセウドールス: まったくポルックスにかけて、シビュラなら読めても、他の誰にも理解できないでしょう。カリドールス: この優美な手で書き上げられた優美な文字と優美な手紙のことを君はどうしてそんなにひどく言うんだ。プセウドールス: いや、ヘラクレスに誓って、鶏でもこのような手を持っていましょうか。実際この手紙は鶏が書いたのでしょう。 —プラウトゥス、『プセウドールス』 21–30 クラウディウス時代(西暦41-54年)の筆記体uobis · ujdetur · p · c · décernám[us · ut · etiam]prólátis · rebus ijs · júdicibus · n[ecessitas · judicandj]imponátur quj · jntrá rerum [· agendárum · dies]jncoháta · judicia · non · per[egerint · nec]defuturas · ignoro · fraudes · m[onstrósa · agentibus]multas · aduersus · quas · exc[ogitáuimus]... 古ローマ筆記体は、原型がわからないほど変化しており、おなじ「ラテン文字」である今の筆記体に慣れた現代人にとっては、きわめて読みづらい。多くの合字を使用しており、いくつかの文字は互いに区別しがたい。a はアンシャル体の a に似ているが、左画はまだまっすぐである。b と d は区別が難しく、e は(s と同様)上まで使って書かれており、p と t は非常によく似ており、v はベースラインより上に書かれて、シェブロンに似た形になっている。
※この「古ローマ筆記体」の解説は、「ローマ筆記体」の解説の一部です。
「古ローマ筆記体」を含む「ローマ筆記体」の記事については、「ローマ筆記体」の概要を参照ください。
- 古ローマ筆記体のページへのリンク