収集・保管・修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 01:39 UTC 版)
美術品やそれにまつわる資料等を収集することは美術館の最初の活動であると言える。後述のように、美術館のコレクションの由来が寄贈であるような場合には、収集品は既に一定程度の規模になっていることもある。その後は、寄贈を受ける程度の収集には消極的な美術館から、アメリカのメトロポリタン美術館やゲティ・センターなど、美術品オークション界において最も資金力のある買い手の一つに挙げられる美術館まで存在する。 収集には美術館が作家やコレクターから直接又はオークションを経て購入する場合、作家やコレクターから寄贈を受ける場合、又は古美術品や埋蔵品のように既に持ち主が不明になっているものを発見・発掘して収集する場合がある。ただし、「発見・発掘」とは集める側の理論である場合があり、大英博物館やメトロポリタン美術館に対する旧植民地国家からの返還要求、エルミタージュ美術館等が戦争混乱時に得たとされる美術品について元の持ち主(多くはユダヤ人)からの返還要求などの例も起きている。 作家やコレクターからの寄贈には相続税等の課税が負担であるとの理由もある。日本をはじめアメリカなどでもこのような場合に免税・減税制度を設けて寄贈を促している。このような寄贈によってコレクションの散逸の防止、ある地域にゆかりのある芸術家のための美術館を開設できるなどのメリットがある。 広義の収集として、作家やコレクターから長期又は無期限での寄託を受けることがある。美術館側としては展示品の充実につながり、預ける側からは安定した保管場所が得られるというメリットがある。 美術品・資料の保管は、屋外展示にも堪えられる彫刻から繊細なガラス細工に至るまで、その美術品の性格により多様な方法となる。例えば絵画などでは紫外線、適切でない湿度、粉じん等は劣化の原因になる。美術館の収集に値するものであれば一定程度の経済的価値があり、保安上の管理も必要である。この為、通常は空調・警備の完備した収蔵庫において保管される。 美術品の修復は、前述のような劣化の原因がある以上は必要なものであり、専門家の手によって行われる。しかし、過度の修復はオリジナルのタッチを損なうなどの問題も生じる。
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