原初的言語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:40 UTC 版)
「マルティン・ハイデッガー」の記事における「原初的言語」の解説
ハイデッガーのいう「古来」の農村主義はナチが歓迎するもう一つの主張で補強される。それは、ドイツ語の特異性で国家の運命と一蓮托生となっている、という主張である。 国家主義者の原型でナチスから国民社会主義者の先駆者と目された理想主義的哲学者ヨハン・ゴットリープ・フィヒテが手がかりを提供していた。 古代ギリシャ語とドイツ語は直接に繋がっている。その他のヨーロッパ言語はドイツ語から派生したか、または死語であるラテン語の子孫である。 ハイデッガーによれば、 言語が死ねば思考も死ぬ。思考そのものが堕落し根源から離れヨーロッパ文明の最も古い命の泉との繋がりが絶たれる。的確に哲学的な思考はドイツ語による思考でなければならない。 ドイツ人こそが今に残る唯一の真正なる古代人であることがこれで証明されたと考える哲学者が多かった。となれば、ドイツの運命は、「世界的役割」は何を措いても哲学的ならざるをえない。ハイデッガーにとっても、ギリシャ語は「原初的言語」(全てに先行する最初の言語)であり、ドイツ語はその直系の子孫だった。 ドイツ人の中からのみ世界史的思索は生まれる。但しドイツ人がドイツ的なものとは何かを知り、それを守ることができれば、である。 こうした愛国的テーマは、当時主流だった麻薬的主張からの皮相な借用にすぎないのだろうか。ハイデッガーはそこに決定的に重要な「ひねり」を加えた。ハイデッガーによれば、国家の運命は自分自身の極めて個性的な哲学と同じ軌跡を描く。 「偉大さ」へ向かうドイツの運命は「事物の本来的知識」が得られるか否かにかかっている。即ち、ドイツは哲学を必要とする。
※この「原初的言語」の解説は、「マルティン・ハイデッガー」の解説の一部です。
「原初的言語」を含む「マルティン・ハイデッガー」の記事については、「マルティン・ハイデッガー」の概要を参照ください。
- 原初的言語のページへのリンク