原初的現在と現在の展開
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/30 02:46 UTC 版)
「ヘルマン・シュミッツ」の記事における「原初的現在と現在の展開」の解説
上記のように、主観的事実の根源的なレベルにおいては、主客の対立を含まないが、それと同様、そこには「かつて」-「今」-「いつか」という時間的分節も、「ここ」-「あそこ」という空間的分節、「ある」-「ない」や「あれ」-「これ」といった存在と個体性の対比もない。それは、「私」、「今」、「ここ」、「ある」、「これ」が未分化に融合した状態である。シュミッツはこれを「原初的現在(primitive Gegenwart)」と呼び、人間のあらゆる存在様態、経験の基層にあるとする。通常は目立たないが、強烈な痛みや恐怖のように身体が極度に狭まるような場合に露わになる。人称、時間、空間、存在、個体の分節化は、原初的現在からこれらの要素が分岐し、それぞれがある程度の自由度を獲得しつつ関連しあうような状態へ移行することで起こる。これが「現在の展開(Entfaltung der Gegenwart)」である。ここで初めて、私、あなた、彼・彼女という人称的区別、過去、現在、未来の時間的分節、「ここ」を起点とするパースペクティヴや、相対的な位置の体系、存在と非存在、現実と仮定、虚構の差異、さまざまな個体の区別が生じる。
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