主観的事実
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/30 02:46 UTC 版)
「ヘルマン・シュミッツ」の記事における「主観的事実」の解説
伝統的な哲学の問題との関連でとりわけ重要なのは、シュミッツの主観性理論である。彼によれば、主観性とは主観と呼ばれる基体の性格ではなく、事実の性格である。シュミッツによれば、近代のいわゆる主観性の哲学は、主観と客観の区別は初めから前提されてその関係を論じるが、そこでは主観の主観としての資格、言い換えれば、「私が他の誰でもなく、私であるのはなぜか」が問われていない。主観的事実とは、この私の存在や経験の比類なさを指し、これは身体的・情動的体験に根ざしている。人間の世界と自己の存在は、この主観的事実において開かれる。そして客観性は、この根源的な事実から主観性を希薄化していったところに成立する。シュミッツによれば、主観的事実を発見したのはフィヒテであり、これは古代ギリシャ以来の哲学の大転換点とされる。
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