十事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/27 01:35 UTC 版)
すべてに「浄」の文字があるが、この「浄」は容認を意味する。 塩浄(えんじょう) - 前日までに受けた塩を、後日使用するために備蓄してもよい 二指浄(にしじょう) - 日時計の影が二指の幅まで推移する間は食事をとってもよい(これは非時食といって、正午を過ぎて食事をしてはならないという制戒を緩和することを意味する) 聚落間浄(じゅらくけんじょう、随喜浄とも) - 一つの村落で食事した後に、他の村落に行って食事をしてもいい 住処浄(じゅうしょじょう、道行浄とも) - 一定の場所で懺悔や反省、食事しなくても別の場所で行ってもよい 随意浄(ずいいじょう、高声浄とも) - 比丘の人数が揃っていなくても事後承認で議決してもよい 久住浄(くじゅうじょう、舊事浄) - サンガの行事・戒律を為すときに前人の先例に随ってやればよい 生和合浄(しょうわごうじょう、酪漿浄とも) - 食事の後に乳酪をとってもよい 水浄(すいじょう、治病浄とも) - 醗酵していない(すなわち酒になっていない)椰子の汁を飲んでもよい 不益纓尼師檀浄(ふやくろにしだんじょう、坐具浄とも) - 縁(ふち・へり)をつけずに、好きな大きさで座具を用いてよい 金銀浄(こんごんじょう、金宝浄とも) - 金銀や金銭の供養を受けてそれを受蓄してもよい これらヴァッジ族の比丘の十事は、ヤサをはじめとする保守派の比丘たちに非法と断定された。なお、これはすべて戒律のことである。 この中で、最も問題とされたのは金銀の受蓄であるとされ、表面化するまでに問題視されていたといわれる。保守派とされる従来の比丘衆に対し、ヴァッジ族の比丘たちは地域の実情にあわせて戒律を緩めて解釈する立場であり、それが原因とされている。 この十事は非法とされるが、この決定に不満をもっていた比丘衆は次第にグループ化していくことになり、それが保守派といわれるテーラワーダ(上座部)とマハーサンギカ(大衆部)に分裂するきっかけとなったといわれる。 なお、根本分裂が起こった時期はアショーカ王の没後といわれる。
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