創作過程、評価、影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/10 07:08 UTC 版)
「トーニオ・クレーガー」の記事における「創作過程、評価、影響」の解説
当初『文学』という直截的なタイトルを予定されていたこの小説は、長編小説『ブッデンブローク家の人々』を完成した直後、自分が文学者としてどうあるべきか真摯に思い悩んでいたトーマス・マン自身の告白的な作品であった。作中のハンスには、マンが少年時代に憧れていたアルミン・マルテンスの面影があると言われており、また執筆の数年前から執筆時にかけて、パウル・エーレンベルクという青年と恋愛に近い友情関係にあったことも見逃せない成立要因と考えられている(なお、刊行2年後にマンは結婚している)。一方、「市民」の立場から批判的に扱われている「芸術家」の造形や定義は、世紀末からヨーロッパに流行していたニーチェ主義に染まり耽美主義的な作品を書いていた兄ハインリヒ・マンを意識していた側面が強い。 マン自身はこの作品を後々まで、自分の心情に最も近いものとして認めていた。 また、マンより8歳年下にあたるフランツ・カフカがこの作品を愛読したのを初め、同時代や若い世代の作家に多大な影響を与えている。 日本では、三島由紀夫や北杜夫がこの作品から影響を受けたと語っている。北杜夫は辻邦生からこの作品を紹介され、自身の筆名の由来となった(トニオ→杜二夫→杜夫)。
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