剛台車の幾何学的蛇行動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 21:40 UTC 版)
実際の鉄道車両は1軸では成り立たず、ボギー台車のように台車に輪軸が拘束される構成が取られる。台車蛇行動の基本的特性を考察するために、2つの輪軸が台車に剛に取り付された単体の台車を想定する。このような台車を剛台車と呼び、1916年にカーター(Carter)により、以下のような剛台車の左右、ヨーイング方向に関する運動方程式が導かれた。 m B y ¨ + 4 κ V y ˙ − 4 κ ψ = Y {\displaystyle m_{B}{\ddot {y}}+4{\frac {\kappa }{V}}{\dot {y}}-4\kappa \psi =Y} … (13) m B i B 2 ψ ¨ + 4 κ b 2 + a 2 V ψ ˙ + 4 κ b λ r y = G {\displaystyle m_{B}i_{B}^{2}{\ddot {\psi }}+4\kappa {\frac {b^{2}+a^{2}}{V}}{\dot {\psi }}+4\kappa {\frac {b\lambda }{r}}y=G} … (14) ここで、 m B {\displaystyle m_{B}} :台車質量、 i B {\displaystyle i_{B}} :台車のヨーイング回りの慣性半径、 b {\displaystyle b} :中立位置での左右車輪接触点間隔の1/2、 r {\displaystyle r} :車輪平均半径、 λ {\displaystyle \lambda } :踏面勾配、 κ {\displaystyle \kappa } :クリープ係数(縦クリープ係数=横クリープ係数)、 a {\displaystyle a} :台車内の2つの輪軸間距離(軸距)の1/2、 Y {\displaystyle Y} :左右方向外力、 G {\displaystyle G} :ヨーイング回りの外力である。輪軸単体の場合と同様に、この台車が慣性力を無視してレールに対して車輪が滑らないという仮定の下により解析される剛台車蛇行動を、台車の幾何学的蛇行動と呼ぶ。上式の慣性、外力の項を無視することで幾何学的蛇行動の運動方程式が得られ、以下のような台車の幾何学的蛇行動の波長 S 2 {\displaystyle S_{2}} が得られる。 S 2 = 2 π b r λ 1 + a 2 b 2 = S 1 1 + a 2 b 2 {\displaystyle S_{2}=2\pi {\sqrt {\frac {br}{\lambda }}}{\sqrt {1+{\frac {a^{2}}{b^{2}}}}}=S_{1}{\sqrt {1+{\frac {a^{2}}{b^{2}}}}}} … (15) すなわち、蛇行動を長周期化して影響を抑えるには、長い軸距が有効である。台車を持たず車体と輪軸が直接連結する二軸車の場合は、軸間距離を車体内の2つの輪軸間距離と置き換えればよい。
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