制度の趣旨と実態の乖離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 10:02 UTC 版)
「技能実習制度」の記事における「制度の趣旨と実態の乖離」の解説
制度の趣旨と実態の乖離も指摘されている。いわゆる3K職種など日本人労働者を確保できなかったり、中華人民共和国などの外国製品との価格競争にさらされている中小企業が、本来の目的である国際貢献ではなく、低賃金の労働力確保のために本制度を利用するケースが目立ち、研修生の中にも技能修得ではなく「出稼ぎ」として来日する者がいる。 送り出し国の中華人民共和国では、裁縫業など安い労働力を武器にした労働集約型産業が限界を迎え、工場がカンボジアなどアジアの国々へ次々と移転。工場用地の賃貸や誘致の紹介業など、第三次産業に向かう経営者も現れるなど日本で技能実習生として来日する必要性が薄まっている。送り出し国のバングラデシュにある縫製工場では2012年頃からドイツ製の機械を導入し手作業を減らし、2017年には従業員がたまに機械を掃除し、デザインのプログラムを入力するだけで海外向け商品を生産できるようにするなどロボット化が進んでいる。人件費の安い発展途上国にシェアを取られたりデフレーションや不当廉売により人件費が抑圧された日本において技能実習生が低賃金労働力として機能していた面もあるが、発展途上国の賃金上昇と円安に加え発展途上国同士の人材獲得競争やファクトリーオートメーションにより日本に実習しに行く意義は薄れつつある。
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