初期シノプシスからの変更について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 08:27 UTC 版)
「燃えよドラゴン」の記事における「初期シノプシスからの変更について」の解説
公表されている脚本第1稿よりも前に、マイケル・オーリンがブルース・リーの関与なしにまとめたプロットがあった。 その内容は『007 ドクター・ノオ』に大きくインスパイアされており、そこに格闘技トーナメントの要素を加えただけの魅力的なプロットとはいえなかった。 そこでは、ジョン・サクソン演じるローパーが「最強の男」であることが明確にされており、終盤にハンと戦うのはリーでなくローパーになっている。大筋は完成版にも残されていて、ハンがリーではなくローパーに目をつけ仲間に引き入れようとしている点や、クライマックス前に捕えられたリーをローパーに殺させようとする場面がそのまま脚本になっている。 元々はこの葛藤の後、ローパーの代わりに指名されたボロがリーと戦い、リーが勝った後、激怒したハンとローパーが戦うことになっていた。リーのほうは中盤にオハラを倒した時点で姉の仇を打っているのだから、このラストシーンではローパーこそが旧友ウィリアムスを殺された復讐を遂げるためにハンを倒し、物語に決着がつくはずだった。のちにブルース・リーが脚本づくりに関わってから、ハンが少林寺の裏切り者という設定を加え、最後のリー対ハンの果たし合いに意義を持たせている。 このように元のプロットを残したまま主人公をローパーからリーに切り替えたことで、前半からして夜な夜な部屋を抜け出す「最強の男」リーにハンがまるで着目せず、ローパーにばかり関心を寄せるという不自然な流れを生んだ。毎晩リーの部屋に一緒にいたはずのメイ・リンが、真相発覚後もハンに処罰されないという矛盾も生じた。脚本家のオーリンは当然反発し、リーとの不仲も製作の初期段階から決定的なものになっていた。しかし、のちにユン・ピョウが「ブルース・リーの映画は彼のワンマンショー。彼以外の要素は無に等しい。」とコメントした通り、物語における矛盾も不自然さも、リーの圧倒的な存在感と迫力により観客の心を遠ざけるものではなかった。
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