分析チームの要員数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 08:39 UTC 版)
情報収集衛星の運用で、最終的に得られる情報の質と量を決定する要素には、偵察衛星の1ピクセル当たりの画像分解能や観測面積(観測幅×観測可能時間)もあるが、それに優るとも劣らず重要な要素なのが、情報収集衛星によって得られた画像の識別と解析を行なう、地上の『分析チームの要員数と解析能力』である。このため、偵察衛星の分解能や観測面積などの衛星諸元の優劣のみによって、その国家が持つ衛星の画像情報収集能力を測るのは、誤りである。 分析チームの解析能力について解説すると、例えば、偵察衛星の光学センサにしても、解像度を優先してモノクロで撮影を行なうタイプと、解像度を犠牲にしていくつか異なった光の波長で撮影を行なうタイプがある。情報収集衛星に即していうと、パンクロマチックセンサーとマルチスペクトルセンサーが、それらに当たる。 地上対象物は、さまざまな波長に対して異なった光学特性を示す。同じコンクリート構造物であっても、作られている途中で固まっている最中なのか、建築後長い年月が経ちボロボロなのか、それとも表面にコケが付いているのかによって、光学特性が違ってくる。また、衛星に搭載されているセンサによっても特性が異なっており、それらの違いを理解した上で、正確な解析情報を素早く導くには、十分な経験とそれを蓄積するだけの時間が必要となる。 当然、これらの高度な作業と衛星から得られる膨大なデータ量に対しては、十分な分析チームの要員数が必要であるが、数千人規模のアメリカ合衆国の分析チームに比べて、日本は内閣衛星情報センターの定員が219名(2011年(平成23年)7月現在)という少人数体制である。このため現状では、あまり多くの分析は出来無いとの指摘が挙がっている。
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