分布の特異性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 05:49 UTC 版)
ハブ類は南西諸島において、飛び石状の特異な分布をしていることが知られている。北からトカラ列島に近縁種のトカラハブが、奄美群島と沖縄諸島にはハブとヒメハブが、八重山諸島にはサキシマハブが生息するが、宮古諸島には生息しない。奄美大島、徳之島、沖縄本島にはハブがいるが、その間の沖永良部島、与論島には生息しない。沖縄本島周辺では、伊江島、伊平屋島には生息するが、その間の伊是名島にはいない。久米島、渡名喜島には生息するが、粟国島は2017年以降に目撃・捕獲されるようになるまで長らくいないとされてきた。慶良間諸島でも、渡嘉敷島には生息するが、座間味島にはいないなど、近接した島でも生息する島と生息しない島に分かれている。 ただし沖縄本島では、人為的に持ち込まれたサキシマハブ、タイワンハブが飼育施設から流出して、繁殖・定着している。 島ごとの各種ハブの自然分布がこのようになった理由について、現在考えられているのは、間氷期の海進の影響である。南西諸島の島々は、大きく分けて隆起石灰岩からなる標高の低い島と、火成岩からなる標高の高い島があり、低い方の島は、最高部でも標高が100-200mほどしかない。そこで、以下のような仮説が立てられる。 氷河期に陸続きであった琉球列島に、ハブ類が分布を広げた。 氷期が終わり、海面が上がり、島々が孤立。 さらに海水面が上昇し、低い島は水没、陸上動物は全滅した。 海水面が下がると低い島も顔を出すが、ハブは渡って来られない。 ヒメハブがいるのにハブがいない島、その逆にハブはいるがヒメハブはいない島などもあり、詳細については問題もあるが、大ざっぱに言えば、ハブのいない島は標高の低い島であり、固有種も少ない傾向がある。
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