分布の数で判断しようとする試み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:00 UTC 版)
「病気」の記事における「分布の数で判断しようとする試み」の解説
ひとつには、自然科学的な習慣をそのまま持ち込んで、「定量的な分析」を志向し、数的な側面に着目する考え方、別の言い方をすると「正常 / 異常」という概念で分けようとする見解がある。 ある性質の集団の中での数的な分布で線引きしてしまおうとする考え方であり、統計分析の正規分布の母集団の分析における習慣を持ち込むものである。本当はどこまでが「正常」どこまでを「異常」とするかは統計学でも定義は無く、正式の統計学では、線引きの値は任意であり様々に設定可能、とされている。だが、そうした任意の値の中から便宜的・習慣的にしばしば用いられている設定「2×D」を(あまり確かな理由もなく、半ば強引に)採用しておいて、「標準値からプラスマイナス2×SDまでの差を正常、それ以上のずれは異常(なので疾患)」として、「疾患とは全体の5%未満に見られる形質・状態で、正常とは残りの約95%こと」と一律に定義してしまおうとする例がある。しかしこのように「集団内での数的な分布」を「病気」の定義として流用してしまうと、日本で約1000万人が難儀している糖尿病や、数多くの合併症をもたらす肥満までも「正常」とすることになってしまい、また一方で、特に基礎疾患がなく偶然的に高身長となった人で元気に生活している人までが 「病気」に分類されてしまうという問題が生じる。すなわち、異常(統計的に数が少ない状態)であれば病気であるとも言えないし、病気であれば異常である、などとも言い切れず、統計的手法によって病気を定義しようとする試みには無理があるのである[要出典]。
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