分布の一致と環境決定論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 08:52 UTC 版)
「環境決定論」の記事における「分布の一致と環境決定論」の解説
地図を使った説明では、しばしば分布の一致をもって両者に関係がある、とすることがある。これは地理学のみならず、日常会話の中でも知らず知らずのうちに使われる論理である。 具体例として良く知られたものに、エルズワース・ハンティントンによる「気候と文明の関係」がある。ハンティントンは人間の活動の能率に与える気候要素の影響を調査し、「気候的指数」を作成、世界地図に分布を示した。「気候的指数」は値が高いほど活動エネルギーが高くなる。また、ハンティントンは世界中の学識者を対象に各国の文明度に対する認識を調査、その結果も世界地図に分布を示した。この文明度アンケートにはアジア人が5名回答しており、日本人回答者は新渡戸稲造・山崎直方・原勝郎[要曖昧さ回避]の3人であった。するとこの2枚の世界地図は、全く別のデータから作成したにも関わらず、分布傾向がよく一致したため、ハンティントンは「気候が文明を決定する」と結論付けた。そして現代の気候から説明できない古代文明については低気圧の経路変更などの気候変動が原因である、とした。 後にハンティントン説は環境決定論であるとされ、環境と人間の関係を語ることが忌避されるようになったが、河西英通は問題視すべき点は、文明を気候で説明することではなく、「文明の高低差」に見られる差別意識である、とした。
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