出資・融資
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/21 05:16 UTC 版)
NPOバンクは預金を扱えないため、融資の原資は基本的に、趣旨に賛同した市民からの出資金を充てている。出資者の大多数は個人であり、ap bankを除くNPOバンクは一般市民からの出資を広く募っている。多くのNPOバンクは出資者を会員とし、会員に対して出資額の10~20倍以内(つなぎ融資の場合は別)を融資額の上限に設定している。そのため、NPOバンクからの借り入れを希望するNPO等はまずNPOバンクに一定額を出資する必要がある。一般市民からの出資とは別に、北海道NPOバンクやNPO夢バンクのように、自治体からも出資や融資を募る例もみられる。 融資対象としては、主にNPOやワーカーズコレクティブ(W.Co.)、環境や福祉などの市民事業であり、法人格の要件は特段設けられていない。これらの中には、特定非営利活動法人(NPO法人)だけでなく、任意団体、個人事業主、企業組合、有限会社など多様な法人格が含まれており、NPOバンクとしては法人格よりも組織と事業内容の実質で判断しているためであると考えられる。NPOバンクのなかには、個人消費者に融資する例も少数ながらみられる(例えば省エネ家電への買い替え、教育ローンなど)。 融資審査は、事業の社会性と経済性(返済可能性)の両面から行われ、審査委員会には金融の専門家や市民事業の経験者、環境問題等の専門家などが集められる。融資申請にあたってNPO等から提出された事業計画書・財務諸表に従って書類審査するだけでなく、融資申請者との面接、NPO等の現地視察なども行われることがある。NPOバンクは融資にあたって原則として担保を徴求しない(ただし個人保証は必要)こともあり、既存の金融機関に比べて、事業の将来性やNPO経営者の資質・器量、返済可能性を徹底的に見極める高度な“目利き力”が求められることになる。 さらには、事業計画書・財務諸表の作成にあたって、事前のきめ細かな指導を行うNPOバンクや、融資実施後にも融資先への現地訪問を繰り返して経営支援を行うNPOバンクも多い。NPOや地域との密着性、事業の社会性の審査は、既存の金融機関にはあまりみられない特色の一つといえる。
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