冬のヒートアイランド現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 09:33 UTC 版)
「北海道の気候」の記事における「冬のヒートアイランド現象」の解説
近年の札幌の冬はヒートアイランド現象が顕著になっており、1月の最低気温の平年値がこの100年間で6.5度も上昇した。その結果、近年、札幌気象台が設置されている中心部では、厳寒期に最低気温が、-20度前後に下がることは皆無となり、それどころか、-10度以下まで下がることも激減した上、更には1月の最低気温の平年値(-7.0度)より低くなることさえ少なくなった。ところが、極端に冷え込みにくくなっているのは、気象台の位置する札幌中心部市街地であり、隣接する江別市や恵庭市、沿岸部の石狩市のアメダスの気温と比較してみても、札幌中心部の冬季の最低気温が突出して高くなっている。特に、厳しい寒気に覆われた日の晴れた無風の朝など放射冷却が起きやすい環境の時は、10度以上の差になることもある。たとえば、2012年2月1日の最低気温は、札幌市(気象台)-10.6度、石狩市-19.5度、恵庭市(恵庭島松)-21.9度、江別市-24.6度などとなっており、札幌圏内でも非常に大きな差が見られる。札幌市内においても、気象台から南西に7~8kmほどの札幌ドーム横にある北海道農業研究センター気象観測露場では同日に-19.4度を記録(2008年には-24.0度まで下がるなど、ほぼ毎年のように-20度前後の冷え込みを記録する。)しており、また、本来冷え込みにくいはずの沿岸部の手稲区山口のアメダスも、同日に-15.1度を記録している。 このように、同じ札幌市内といえども、中心部と郊外では冬場の最低気温には非常に大きな差があり、-10度以下でさえ下がりにくくなっている中心部と比べ、郊外では-20度前後の冷え込みも暖冬傾向の顕著な近年でも記録されていることが分かる。特に、内陸性気候を示す厚別区や清田区の最低気温は中心部とは大きく違うことがある。冬季の最低気温では中央区や西区が最も気温が高く、周辺へ行くにしたがって低いというドーナツ状の等温分布を示すことが多い。また、既に約40年前の北海道大学の論文では市内の市街地・住宅地と農地・緑地との温度差なども極めて大きいことを示しており、都市化がより一層進んだ現在、その差は一層激化しているものとみられ、そのことは中心市街地にある気象台と比較的環境が良好な北海道農業研究センター気象観測露場の最低気温の差によく表れている。一方、冬季の温暖化のわりには降雪量は減っていないのが特徴である(降雪の深さ寒候年合計上位5位が1990年代以降の記録である)。 参考:札幌圏各地のヒートアイランド時の最低気温比較(単位:℃) 起日札幌市内札幌市外気象台手稲山口羊ヶ丘江別新篠津恵庭島松千歳石狩2012年2月1日-10.6 -15.1 -19.4 -24.6 -25.2 -21.9 -20.3 -19.5 2012年1月26日-10.9 -15.1 -16.0 -24.8 -22.4 -22.9 -24.2 -19.2 2008年2月25日-13.2 -14.8 -24.0 -24.2 -24.2 -22.7 -21.3 -19.4 2006年2月6日-10.5 -10.6 -17.5 -16.1 -14.2 -22.3 -25.1 21.1 2003年2月6日-13.0 -15.0 -19.2 -25.8 -21.0 -24.7 -21.1 -19.6 2003年1月15日-14.8 -20.4 -24.2 -21.5 -19.8 -20.7 -21.6 -21.4 2001年1月19日-13.1 -19.5 -19.7 -21.1 -21.7 -19.0 -23.1 2001年1月14日-15.0 -18.3 -18.7 -18.5 -21.9 -26.6 -20.0 1996年2月2日-13.6 -16.7 -22.0 (西野幌)-24.3 -18.4 -26.9 -30.3 -17.5
※この「冬のヒートアイランド現象」の解説は、「北海道の気候」の解説の一部です。
「冬のヒートアイランド現象」を含む「北海道の気候」の記事については、「北海道の気候」の概要を参照ください。
- 冬のヒートアイランド現象のページへのリンク