写真を巡る議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 16:59 UTC 版)
写真撮影後、ローゼンタールはフィルムを現像するためグアムへ送った。グアムで現像された写真を見たAP通信のジョン・ボドキンは「これは歴史的な一枚だぞ!」と思わず叫び、即座にニューヨークのAP通信本社へ電送した。AP通信によってアメリカの多くの新聞にこの写真がのった。撮影から印刷までわずか18時間半というのは当時としては驚異的なスピードであった。 写真の撮影状況は当初から論議の的となった。星条旗掲揚の写真を撮影した後で、ローゼンタールは海兵隊の「E中隊」の写真を撮っている。ポーズをとる海兵隊員たちのいわゆる「ガンホーショット」といわれる写真である。グアムへ引き上げたローゼンタールが「写真をとるとき、ポーズを取らせたのか?」と聞かれたとき、彼はてっきり「ガンホーショット」のことを言っているのかと思い、「もちろんだよ」と答えた。これを聞いた『タイム』誌の特派員ロバート・シェロッドはニューヨークで「ローゼンタールの星条旗写真はポーズをとらせて撮ったものだ」と話した。『タイム』誌のラジオ番組「タイム・ビューズ・ザ・ニュース」は「ローゼンタールは写真家としての名声という誘惑に負け、すでに立てられていた星条旗の前で改めてポーズをとらせた」と非難した。 このような報道によって、ローゼンタールは「やらせ写真をとった」とか「あたかも最初の星条旗掲揚のように言いふらした」などの非難を受けることになった。なかには『ニューヨーク・タイムズ』の書評のようにローゼンタールのピューリッツァー賞を剥奪すべきだという主張まで現れた。ローゼンタールはその後、星条旗掲揚が「やらせ」であるという批判に繰り返し反論してゆくことになる(ビル・ジェノウストが撮影した映像から、やらせではないことがわかる)。
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