共生の位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 23:55 UTC 版)
元々、生物学の中では、共生は種間関係の中でも特殊なものと考えられがちであった。これには、近代科学の発達の場となったヨーロッパではトマス・ホッブズの「万人の万人に対する闘争」という有名なフレーズが端的に示すように、社会的自然状態を競争と捉えることが受け入れられやすい思想背景があったことが影響しているかもしれない。日本でも1980年代までの生態学者の書いた教科書では、影響しあう2種の生物の種間関係を、捕食-被食関係、競争関係、共生関係、寄生関係の4つのパターンに分類し、これらのうち、あくまでも主流とみなすべきは捕食被食関係と競争関係であり、共生や寄生は例外的なものとして重視するべきではないと書かれたものもあった。 しかし、その後理解が進むにつれて共生が普遍的な現象であり、生態系を形成する基本的で重要な種間関係の一つであることが認識されてきた。また、かつては共生と寄生は別の現象とみなされたが、関係する生物相互のバランスによって双方が利益を得る状態(相利共生)から片方が利益を得てもう片方が被害を受ける状態(寄生)まで連続して移行しうる例が多く検出され、互いにはっきりと分離できないことがわかってきた。そのため現在では、共生という種間関係は相利共生や寄生といった関係をすべて含む上位概念として捉えられている。
※この「共生の位置づけ」の解説は、「共生」の解説の一部です。
「共生の位置づけ」を含む「共生」の記事については、「共生」の概要を参照ください。
- 共生の位置づけのページへのリンク